漫画

「鬼滅の刃」はなぜ人気?キャラクター人気と、ヒット作の時代背景について考えてみた!

「鬼滅の刃」、ささる~!
大正時代の話なのに、なんでこんなに胸にささる話なんだろう・・・

今や飛ぶ鳥を落とす勢いで日本中に広まっている、
国民的大ヒット人気漫画「鬼滅の刃」


コロナ渦のステイホームがヒットの追い風になったとも言われていますが、
作品の内容がその時代のニーズを満たしたからとも言われます。

この記事では、
「鬼滅の刃」が今の時代のどんなところにフィットしたのか、
時代のヒット作の謎
を資料をもとに考察してみました。

この記事の内容
  • 鬼滅の刃のヒットの考察を説明
  • 鬼滅の刃のヒット背景は、不況とステイホーム?
  • 婚活女子の心もつかんだキャラクター

Contents
  1. 鬼滅の刃の社会普及率がハンパない
  2. 「鬼滅の刃」ヒットの理由 その① 
    大和魂を投影したキャラクターが、お茶の間の子どもからお年寄りまで爆ウケ
    1. そもそも自分の推しキャラ・推しカップルとは
    2. 日本人が安心する、真面目な性格のキャラクター(全員努力家で苦労人)
  3. 鬼滅の刃」ヒットの理由 その②
    スーパーヒーローよりも、努力して強くなる姿に共感
    1. 最初から強いヒーローじゃないのが逆に良い
    2. 具体的にどんな修行をしたらそんなに強くなれるのか?
    3. 自分もやればできるんじゃないかと思わせる親近感がある
  4. 「鬼滅の刃」ヒットの理由 その③
    ハードすぎる逆境に負けず、一丸となって戦う鬼滅隊を応援したくなる
    1. みんな不幸な境遇にあっているので、もう応援するしかない
  5. 「鬼滅の刃」ヒットの理由 その⑤
    不況の現代社会に、悪に打ち勝つヒーローが求められていた!
    1. ヒット作は、その時代とどこかリンクしているので共感される
  6. 「鬼滅の刃」ヒットの理由 その④
    分りやすい悪を、心置きなくフルボッコ!
    1. 大ボスの鬼に良いところがないため、心置きなく成敗できる。
    2. 「大ボスを倒せば全てが終わる」という、子どもやおじいちゃんにも分りやすいストーリー
  7. 「鬼滅の刃」ヒットの理由 その⑦
    主人公の戦う様は、コロナ渦の不況社会で戦い続ける
    現代の日本人とシンクロしている!
    1. 鬼滅の有名なシーンを現代版に置き換えてみると・・・
    2. この約半世紀は、ずっと不況状態が続いている
    3. いつまでたっても景気が回復しない日本経済の闇と、
      その中で真面目で頑張り続ける炭治郎=今の日本の若者
  8. 「鬼滅の刃」ヒットの理由 その⑥
    今流行りの「婚活女子」に女性読者・婚活経験者が共感!
    1. 恋柱「甘露寺蜜璃(かんろじみつり)」は現代の婚活女子とシンクロ!
    2. 現代は空前の婚活ブーム
    3. 個性的な女性は万人ウケしないので、婚活で苦戦しがち
    4. 婚活で苦戦すると、相手に合わせるようになりがち。しかし・・・
    5. そのままの自分を好きになってくれる人と出会い、無事結婚へ
  9. まとめ その時代の世情を反映した作品は、需要と供給が満たされてヒットにつながる!

鬼滅の刃の社会普及率がハンパない

ステイホーム中、TVをつけて鬼滅の刃ネタを見ない日はありませんでした。

鬼滅の刃の放送はデジタル放送だったために
キー局のしばりが無く、自由に宣伝ができたというのも
露出拡大に大きく影響しました。

昨年のステイホーム中に子どもと一緒に親もアニメや漫画を見て、
そのまま親子でハマっていくことが多かったようです。

ファンがファンを呼び、朝番組でも 鬼滅ネタ

街を歩けば コラボ商品

100均に行けば 主人公の炭次郎の着物の柄と同じ市松模様ふきん、

通販では 市松模様布団 まで売られている・・・

マツコさんの柄にもなっています。

これでもかというほど、日本のいたるところにどんどんと鬼滅コラボ商品が増え続けています。裏で動くお金の動きが激しすぎて恐ろしいです。自分で調べていても、あまりの普及率の高さに畏怖の念を覚えました;;

残念ながら原作は完結してしまっていますが、アニメ第二期が予定されているので、

今年もまだまだ人気は飛躍していきそうです。

「鬼滅の刃」ヒットの理由 その① 
大和魂を投影したキャラクターが、お茶の間の子どもからお年寄りまで爆ウケ

そもそも自分の推しキャラ・推しカップルとは

鬼滅の刃は1人1人のキャラクターが立っていて、それぞれの人気も高いです。
(キャラクター商品がよく売れています)
なぜこんなに好かれているのでしょうか?

人は誰かを好きになるとき、どこかに「自分の憧れや理想の姿」だったり、
「自分と似た部分がある」など、自分や自分の理想を投影して好きになりがちです。
「推し」も恋に似たメカニズムを持っています。

同人のカップリングも同様です。どことなく自分の理想のカップル像を反映していて、
どちらかが自分の一部を投影していて、
どちらかが「こう迫られたい」自分の理想の相手になっています。


そう考えると、個性豊かで他キャラと被らない「鬼滅の刃」のキャラクターは、
それぞれ読者の姿や理想の姿を良い感じに投影したキャラクターになっていると言えます。

日本人が安心する、真面目な性格のキャラクター(全員努力家で苦労人)

「鬼滅の刃」のキャラクターはどんな人達かというと、


見事に日本人の良い部分を抽出した人物像になっています(=理想の姿)

メインメンバーの鬼滅隊の人たちも、

真面目で

正義感が強く

優しくて良い人たちばかり

鬼は怖すぎますが、主人公たちが良い人なので
お子さんに見せても道徳的に良さそうです。

恋愛面に関しても、一途で誠実 です。

1990年代ごろの恋愛漫画や恋愛ドラマを見ると、
「悪い男・悪い女」がウケていた時代があったのですが、これを見ると、
今はそういう不安定な恋愛よりも、誠実で安心して付き合える恋愛・関係性が支持されるようです。

そもそも、日本人は勤勉で真面目です。

「頑張った末にここまで来た」という人間的でスポ根な感じが
「巨人の星」世代の年配のファンの心もつかむので、
孫と一緒にアニメを見ていたおじいちゃんおばあちゃんにも受け入れられやすい作品です。

鬼滅キャラの特徴① 真面目で一生懸命

「一途で誠実」「真面目」「正義感が強く」「心優しく良い人」 が多く、
さらに強くなるための努力をおこたらない
実力も志も最強の努力家侍集団

鬼滅の刃」ヒットの理由 その②
スーパーヒーローよりも、努力して強くなる姿に共感

最初から強いヒーローじゃないのが逆に良い

鬼滅のキャラクターは、みんなはじめから強かったり超能力があったわけではありません。
(寿命と引き換えに強くなる制度はありますが)


みんな、真面目に努力を積み重ねて強くなっていっています。

退屈な努力シーンはある程度はしょり、強くなった後の戦いをメインに描いている
漫画作品は数多くありますが、
鬼滅の刃は修行シーンが多く、修行の内容も丁寧に詳しく描かれています。
努力の過程を詳しく説明しているので、逆に主人公たちをつい応援したくなってしまいます。

 

具体的にどんな修行をしたらそんなに強くなれるのか?

主人公の炭治郎は普通の炭売りの少年だったのですが、
鬼に家族を皆殺しにされ、生き残った妹は鬼にされるというものすごい悲劇に遭います。

超努力に努力を重ね

素人から鬼ボスと戦える剣士になるまで強くなりました。

炭治郎の修行の集中っぷりはハンパありません。


大岩をも動かす努力と集中力
仲間からも引かれて一目おかれていました。

死と隣り合わせの「鬼滅隊入隊試験」のための
大岩を切る修行

超人的な肺活量で
巨大ひょうたんを破裂させる修行

日中から、寝ている間もやり続ける
「全集中」の呼吸の修行

柱による肉体強化特別訓練「柱稽古」

 

 

とにかく毎日毎日修行三昧で、
そのたびに努力して試練を乗り越えていきます。

稽古の合間には 鬼との実践死闘もこなし、

 


めきめきと強くなっていきます。

自分もやればできるんじゃないかと思わせる親近感がある

少年漫画としては珍しく、修行描写が詳しく描かれています。
また、修行の方法も詳しく描いてあるので、
ちょっと試してみたくなってしまう人が出てきました。
(=テレビネタにもしやすい)

いまや日本中の色んな人が
炭治郎の「全集中の呼吸」にチャレンジしています。

去年放送されていたバラエティ番組では、
「炭治郎の全集中の修行をしたら技を出せるのか、実験してみた」

という企画が放送され、ステイホーム中のテレビ宣伝効果もありました。
Youtubeにも、「全集中の呼吸やってみた」動画がゴロゴロアップされています。

超人技なのですが「がんばれば出来るかもしれない」と、
ちょっと試したくなってしまうのも、
大正時代にもあるような自然物を使う修行方法が多く、
詳しいやりかたの説明もあるからかと。


チートな超能力者キャラとか、
サ●ヤ人の技とかは修行からして常人離れしているし、
「できるかもしれない」というイメージにはなり辛いので・・・;;

なぜここまで修行シーンを描いたのかというと、
作者の吾峠 呼世晴先生は「人間はそんなにすぐ強くならないと思うから」
仰っていました。

たしかに!

「超人的な強さ」を得るためには
「超人的な修行」が必要 なのは納得がいきます。

(ふつうは耐えられなくて死にそう)

「鬼滅の刃」ヒットの理由 その③
ハードすぎる逆境に負けず、一丸となって戦う鬼滅隊を応援したくなる

みんな不幸な境遇にあっているので、もう応援するしかない

鬼滅隊の人たちは初めからチート的に強いわけではなく、
悲しい運命に苦しんだ末に鬼殺隊に入り、
超絶訓練で努力を重ね鍛え上げて今の強さを手に入れています。
(元々痣があったり、特異体質だったりとスタートの能力が高すぎる人もいますが)

重すぎる過去を見ると、思わず1人1人を応援したくなってしまいます。

柱が鬼殺隊に入るまで

  1. 水柱・冨岡義勇(とみおか ぎゆう)
    • 両親は病死、唯一の姉は祝言のときに鬼に殺され天涯孤独の身となる。心を病んだとみなされ医者に連れていかれそうなところ逃亡し、鬼滅隊の育手・鱗滝(うろこだき)の知り合いの猟師に拾われ、鬼殺隊に入隊する。
  2. 蟲柱・胡蝶しのぶ(こちょう しのぶ)
    • 両親を鬼に殺され、姉と一緒に鬼殺隊に入り、姉も上弦の鬼に殺されてしまう。姉の意思・人格を受け継ぎ、鬼を殺す毒を開発して自分の身体にも取り込み、自分の命と引き換えに姉の敵の鬼を殺し殉職。
  3. 炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)
    • 代々“炎の呼吸”を継承してきた剣士の名門・煉獄家の長男。幼いころから修行に励み、母の死で師匠だった父が酒におぼれ指導を受けられなくなり、最後は独学で習得し鬼殺隊へ。
  4. 音柱・宇髄天元(うずい てんげん)
    • 大正時代に衰退しかけていた忍者の次世代の頭領として育つ。父から兄妹間で殺し合いをさせられたことから忍びの生き方に疑問を覚え、妻3人と抜け忍となって鬼殺隊に入隊した。
  5. 霞柱・時透無一郎(ときとう むいちろう) 
    • 事故で両親を亡くし、双子の兄と暮らしていたところ、鬼に家を襲われて兄を失ってしまう。「始まりの呼吸の子孫」だったため、スカウトに来た鬼殺隊の棟梁の妻・産屋敷あまねに保護され、鬼殺隊の剣士として育てられる。
  6. 恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじ みつり)
    • 鬼と無縁の生活をしていたが、生まれつき筋肉密度が人の8倍ある超人体質+桜餅の食べ過ぎで髪と目の色が変わってしまい、お見合いが破断に。自分を偽っての婚活はやめ、力を活かせる鬼殺隊に入隊した。
  7. 岩柱・悲鳴嶼行冥(ひめじま ぎょうめい)
    • 幼いころに両親を亡くし、盲人の身で寺で孤児を引き取って育てていた。ある日寺が鬼に襲われ、子どもに置き去りにされてしまう。朝になるまで素手で鬼を殴って撃退したが、子どもに殺人の濡れ衣を着せられ死刑囚に。鬼殺隊の棟梁・産屋敷に救われて鬼殺隊に。
  8. 蛇柱・伊黒小芭内(いぐろ おばない)
    • 蛇鬼が殺した人の金品で生計を立てていた一族に珍しく生まれた男子で、蛇鬼の餌になるべく座敷牢で育ち、蛇に似せて口を裂かれる。ある日逃亡した際に鬼殺隊に救われたが、怒った鬼によって一族が皆殺しに。郷の深さを償うために鬼殺隊に入隊した。
  9. 風柱・不死川実弥(しなずがわ さねみ)
    • 貧しい家の7人兄弟の長男に生まれ、父から虐待される母を守り、家事を手伝う優しい少年だった。やがて父は人に恨まれて刺殺される。ある日のこと、兄妹が化け物に襲われ、不死川が戦って撃退するが、それは鬼になってしまった母だった。事情を知らない弟に人殺しと言われ、家を出て鬼狩りとなった。

↑継子のカナヲは幼いころ虐待されていて、感情を失った。
人買いに売られそうなところを、たまたま通りかかった
鬼滅隊の故蝶姉妹に拾われた。

↑柱の胡蝶しのぶは、両親を鬼に殺されて姉と一緒に鬼殺隊に入り、
姉も上弦の鬼に殺されてしまった。

苦しんで修行した結果、超人技が出せるほど強くなり・・・

  1. 過去の辛い運命に負けず一途でひたむきに努力したエピソードを描く
    「応援したくなる
  2. 努力の経緯をきちんと描く
    →「強いのも、なんか納得がいく感じがする」

「鬼滅の刃」ヒットの理由 その⑤
不況の現代社会に、悪に打ち勝つヒーローが求められていた!

ここまで、「鬼滅の刃」ヒットの理由を
【キャラクター設定】から考えてきましたが、
ここからは【作品のストーリー・背景】についても考えていきたいと思います。

ヒット作は、その時代とどこかリンクしているので共感される

「鬼滅の刃」の世界は、鬼が蔓延る治安の悪い大正時代の日本が舞台となっています。

現代に鬼はいないので、別に共通点は無いように思えますが、
現代社会とある共通点があります。

それは、不安定で先が見えない世の中である という点です。

「鬼滅の刃」の世界の不安要素は「鬼」
コロナ渦の世界の不安要素は「コロナウイルス」、「大不況」です。

現代における「鬼」鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)を
「コロナウイルス」と「大不況」だと考えると、

鬼滅の刃が時代とシンクロした要素が見えてきます。

コロナ渦の現代は、病気と不景気で世界中が行き場のないストレスにさらされ、
経済的に先が見えない鬱屈とした世の中になってしまいました。

「鬼滅の刃」の無惨も女性から子どもまで色々に姿を変えて
社会に溶け込んでいます。
人々は常に鬼に苦しめられ、いつ自分がいつ死んでしまうかわからないストレスに
さらされています。

現代日本社会と、鬼滅の刃の世界の共通点

◆人々を不安にさせるものがあり、それがいつ終わるかわからない状況にある。


「不安・災い = 鬼滅の刃の【鬼】= 現代の【コロナ】【不況】」

こうした「不安定な世界で戦っている」という共通点があるところも、
老若男女問わず共感を呼んだ要因になるのではないかと思います。

 

「鬼滅の刃」ヒットの理由 その④
分りやすい悪を、心置きなくフルボッコ!

鬱屈とした怒りの矛先は自分以外の何かに向くことがあります。
簡単にリアルで誰かを叩くワケにはいかないので、
分かりやすい「悪の象徴」があると、
安心して成敗することができて、スッキリします。

大ボスの鬼に良いところがないため、心置きなく成敗できる。

このお話の敵である鬼は基本的に皆冷酷で自分のことしか考えておらず、
トップの鬼は輪をかけてとことん悪いです。

↑ちょっと結果を出せないと、所属チームごと皆殺しにする社長。

 
内外の人格的にもかなり問題があり、
ちょっとムシャクシャしたら部下だろうと何だろうと即皆殺しにする
度を超えたパワハラで有名です。

味方にいても敵にいても嫌なパワハラ上司です。
このパワハラ鬼の所業で被害にあった人たちが結束して鬼滅隊を作っています。

これだけ気持ちよく悪いと、無惨を嫌う子どもたちには迷いがありません。
「鬼滅ごっこ」で鬼役に扮した大人たちを、容赦なく新聞紙で退治出来ます。

「大ボスを倒せば全てが終わる」という、子どもやおじいちゃんにも分りやすいストーリー

諸悪の根源は大ボスの鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)で、
彼を倒せば他の鬼は無力化するので物語は完結します。

最後は全員で力を合わせて戦って、
大ボスの無惨を倒すという結末は、
分りやすく、見ていてスッキリします。

「鬼滅の刃」ヒットの理由 その⑦
主人公の戦う様は、コロナ渦の不況社会で戦い続ける
現代の日本人とシンクロしている!

鬼滅の有名なシーンを現代版に置き換えてみると・・・

有名な第一話の炭治郎の旅立ちシーンは、
義勇さんにかなりシビアなことを言われています。

現代との共通点を探るため、
仮に炭治郎を「非正規雇用で戦う社員」という設定にして
内容を置き換えてみたところ、
割と自然に置き換えることができました;;

実験的に、原作の炭治郎の旅立ちシーンを
現代の会社員版にアレンジして、元画像と比較してみました。

家族の「死」を目の当たりにし、
絶望的な状況でも誰も助けてくれる人がいない現実を突き付けられ、
家族を守るために必死に努力して戦うしかなかった炭治郎の心境は、

不況時代で誰も助けてくれる人がいない現実社会の中で、必死に働いて努力し、

家族を守る現代人の孤独な心とシンクロするものがあったのではないかと。

この約半世紀は、ずっと不況状態が続いている

平成~コロナ渦の令和まで、
日本経済は回復せず不況状態が続いています。

子どもの親御さん世代にあたる30代~40代半ばも
ちょうど就職氷河期
で、
極めて採用が厳しい中で就職活動をしていました。

就職難の時期は、そうでない時期に比べて同じ能力があっても
入社することができなかったため、
等しく人生は続いていくのに、
生まれた時代によって雇用条件が大きく違ってしまったという不平等な雇用
出てしまいました。

小泉内閣以降に非正規雇用制度が導入されてからは、
会社所属の終身雇用ではないので、企業がきちんと若手を育てることをしなくても良くなったので、
率先力と称した使い捨て社員を雇い、
悪い労働条件のまま年を重ねてしまう人も出てきてしまいました。

ここ数年、やっと雇用が上向きになってきたと思ったら
昨年のコロナショックによって、
今はかつてのリーマンショック以上の不況状態に。

いつまでたっても景気が回復しない日本経済の闇と、
その中で真面目で頑張り続ける炭治郎=今の日本の若者

真面目で誠実で、常に頑張り続ける炭治郎に、
もともと根が真面目な日本人は心理的に親近感を覚えます。

鬼滅戦士達の戦いは、生まれた時から不景気で、
社会に出るなり新卒なのに会社からえぐいスキルを求められ
低賃金で不安定な雇用で、昼夜を問わず労働と勉強を強いられる

就職氷河期~コロナ渦の日本にシンクロした のではないでしょうか。

「ねぎらいの呼吸!」


まさに、鬼滅グッズの先駆けになった 鬼滅ボス缶です;;

「鬼滅の刃」は連載当初、少し暗めの雰囲気のお話だったため人気が出にくかったそうです。
でも時代が、努力によって悪を倒すことが出来るヒーローを求めていた。

なんとなく、バブル時代にはこの作品は生まれなかった気がします。

バブル時代かエヴァ以前に描かれた少年漫画って、
もっと技が明るくて派手で、主人公もノリノリか熱い熱血漢が多かったよね。
炭治郎のスタートの状況は、あまりに酷すぎる;;

「鬼滅の刃」ヒットの理由 その⑥
今流行りの「婚活女子」に女性読者・婚活経験者が共感!

最後に、今はやりの婚活女子という
斬新なキャラクターについてまとめました。

恋柱「甘露寺蜜璃(かんろじみつり)」は現代の婚活女子とシンクロ!

鬼殺隊の戦力を支える柱の1人、
恋柱の甘露寺蜜璃(かんろじみつり)ちゃん。

蜜璃ちゃんはスタイル抜群で男性に特に人気がありそうですが、
女性からの人気もとても高いキャラクターです。

テレビに映ったこのお母さんも、
子どもと一緒にアニメを見ています。

恋柱の甘露寺蜜璃(かんろじみつり)ちゃんのファンみたいですね。

彼女も現代の若者と共通点があります。

それは、婚活女子 というところです。

 

 

鬼に人生を奪われ、復讐のために鬼滅隊に入隊する人が多い中、
彼女は唯一 婚活のために鬼滅隊に入りました。

現代は空前の婚活ブーム

女性の社会進出と雇用状況の悪化で、仕事が忙しくて日頃出会いがない若者は年々増加傾向にあります。

ここ数年は、空前の婚活ブームす。

鬼殺隊に入る前の甘露寺蜜璃(かんろじみつり)ちゃんは、
鬼殺隊とは無縁の、大正時代の普通の結婚観をもつ
婚活中の女子
でした。

 

ただ、
肉密度が常人の8倍ある特異体質ために大食いしないと体が保てない

②大好物の桜餅を1日170個、8カ月食べ続けたことで
髪の毛が桜色~黄緑のグラデーションになり、
目が黄緑色になってしまった という
個性のある女性でした。

個性的な女性は万人ウケしないので、婚活で苦戦しがち

現代の婚活でも、
個性がある女性はそれに合う男性と出会うのが比較的難しい
傾向がありますが、

特に大正時代に好まれた「控えめで保守的な女性」の枠に当てはまらない彼女は、
見た目は超絶可愛いけど個性が強いために婚活で苦戦してしまいました。

男性は、最初から自分を立てて、
自分に合わせてくれる女性が好きな人が多いですよね。

17歳のときにはお見合いが破断になり、
その際に相手の男性から個性を全否定・さらには酷く中傷されるという
ひどい振られ方をし、とてもショックを受けてしまいます。

(こんなことを言う男性にロクなことは無いので、断られてラッキーだったと思いますが)

婚活あるある

  1. 断り、断られて婚活が長期化していく焦りから、相手に気に入られようと自分を押し殺して相手に合わせ、勝率をあげようとする時期がくる。
  2. 自分を相手に合わせることでお誘いが来るようになるけど、常に自分を作っているので、すごい疲れる。自分への負担が大きい。
  3. その時期を超え、自分らしく振る舞っているとようやく自分に合うパートナーと出会える。

婚活で苦戦すると、相手に合わせるようになりがち。しかし・・・

蜜璃ちゃんも同じようなことを経験しています。
男性に好かれやすい女性になるように、自分を作るようになりました。

 

トレードマークの髪を黒くし、力を弱く見せるようにゴハンを我慢し、
フラフラになりながら男性の理想に合わせるように
相手に合わせ、普通っぽく見えるように努めたところ、
もとから良いお嬢さんなので求婚してきた男性はいたのですが

本当の自分を好きになってくれる人と結婚した方が良いのではないか

作った自分を好きになって貰ったとしても、
このまま結婚してしまっては幸せになれないのではないか
と悩みました。

無理やり合わせても、結局
後で苦しくなってきてしまうパターンに

なので、コンプレックスだった自分の個性も活かせて
自分よりも強い男性がいる鬼滅隊という職場に
旦那さん探しを兼ねて就職する道を選んだのでした。

そのままの自分を好きになってくれる人と出会い、無事結婚へ

入隊後は、鬼滅隊の幹部クラスの柱で実力もあり、
蜜璃ちゃんの全てにメロメロ
伊黒小芭内(いぐろおばない)さんと出会い、
両想いとなったのでした。良かったです。

粘着質な男性(伊黒さん)と、愛想の良い女性は
心理学的にも相性が良いそうです。

少年漫画でここまでエピソードも交えて婚活女子を取り上げるのは珍しいですよね。
作者さんが女性なだけありますね!

甘露寺 蜜璃(かんろじみつり)ちゃんは、

婚活や結婚を経験した女性からの共感をめちゃめちゃ得ていると思います。

まとめ その時代の世情を反映した作品は、需要と供給が満たされてヒットにつながる!

鬼滅の刃ヒットの要因考察

  1. 不況時代に、真面目に努力して悪者を倒すヒーローが求められていた
  2. 「悪い鬼を倒すために、仲間と努力し勝利するという分りやすいストーリーが、お茶の間の老若男女に受け入れやすかった
  3. キャラ描写が丁寧で魅力的なため、コラボ商品、キャラグッズが売れやすい
  4. 不屈の努力で強くなる主人公の「スポ根精神」が教育上良い。大人も励まされる。お年寄りにもウケる。
  5. 真面目な主人公なので、下ネタ・変な暴力もない。子どもにも安心して見せられる。
  6. がんばる主人公に親近感が湧く。応援したくなる。
  7. 日本仕様・和風モチーフの技が、海外向けにも売りやすい

今回色々調べてまとめてみて、

わたしも炭治郎の頑張る姿に励まされました。

毎日の努力の積み重ねって大事ですね。

吾峠呼世晴先生、元気になれる作品を作ってくださって

ありがとうございました。

 

 

ABOUT ME
紫木エリ
フリーでイラストレーターをしています。 前職はテレビ局在中のCGデザイナーをやっていました。 手書き風、似顔絵、可愛い系など色々なテイストの絵が得意です。 趣味は旅行、美術鑑賞。 最近のハマりはどうぶつの森です。