こんにちは。
今回は、横浜駅のそごう美術館で開催中の個展・
「篠田桃紅(しのだとうこう)墨と100年。」展に行ってきました。
Webサイトを見て何気なくふらっと訪れたのですが、
現物はWebで見たときよりも全く印象が異なり、
線や面のシンプル平面的な作品なのになぜか立体感・奥行を感じました。
今年3月に亡くなった、戦後の女性美術家・篠田桃紅(しのだとうこう)の水墨抽象画の個展。
桃紅の初期の作品から、文字を離れて墨の色や線を追求し、独自の抽象表現を確立したニューヨークでの挑戦・その後、そして余分なものを極限まで削ぎ落として新たな形に昇華し、一瞬の「心のかたち」追求し続ける現在までの変遷を、約80点の代表作と資料を通して辿ります。
篠田先生は今年の3月1日(2021年)に老衰のため亡くなられた女性の美術家で、享年は107歳でした。
本名:篠田 満洲子【1913年~2021年3月1日】
1913年中国・大連生まれ。5歳の時から父から書道を学び、22歳で書家として独立した後、
文字の形にとらわれない独自の水墨抽象画という全く新しいジャンルを確立し、
1956年、抽象表現主義絵画が流行していたニューヨークに渡り、作品を制作・発表し、高い評価を得る。海外進出を果たした女性美術家は、戦後の当時の日本において極めて稀であった。
2年後帰国した後も精力的に作品を制作し、世界が尊敬する日本人100人に選ばれ、著書もベストセラーとなる。現在も、海外の有名美術館にも作品が所蔵されている。
展示の特徴
1.タイトルを伏せた抽象画
鑑賞者が先入観にとらわれずに鑑賞できるように、あえて作品のタイトルが伏せられて展示されています。
シンプルで説明し過ぎていないところがかえって味わい深く感じられました。
頭で色々考えさせられるコンセプチュアルアートとは違い、感性の赴くままに鑑賞できます。
不思議と何度でも飽きずに見たくなるような作品でした。
2.初期から晩年までの作品の変遷・制作風景を紹介
日本古典文学と書法を用いた初期の作品から出発し、どのように作品を変化させて
独自の水墨抽象画のスタイルを確立したのか、作品と思考の変遷が丁寧に紹介されています。
鑑賞者の感性を入れて解釈してよいタイプの作品ですが、作者の制作の元となった
和歌や色面や線、音楽のイメージなど、作品を読み解くヒントも書かれています。
チケット情報・閲覧時間の目安・混雑状況など
チケット情報:
会場で当日券を販売しています。来館予約は必要ありません。
閲覧時間:
ゆっくり見て、約1時間程度。
混雑状況:
水曜の午後3時から行って、待ち列なしで入館可能でした。
ワンフロア1~2人程度の混雑状況。
会場 | そごう美術館(横浜駅そごう横浜店 6F) |
会期 | 2021年4月3日(土)~ 5月9日(日) |
開館時間 | 午前10時~午後8時 (入館は閉館の30分前まで) |
観覧料(税込) | 【来館予約不要】 一般 1,200円(1,000円)/ 大学・高校生 1,000円(800円)/ 中学生以下 無料 |
休館日 | 会期中無休 |
作品の変遷
初期の作品 ~文字・線~
中期の作品 ~線・面~
後期の作品 ~色彩・リトグラフ~
篠田桃紅さんのおススメ著書
篠田先生は、作品の他に多くの著書を残されています。
特に100歳を過ぎてからの著書はベストセラーにもなっています。
100歳以上も生きていると、言葉ひとつひとつに重みがありますね。
今回の展示で、わたしが購入した
おススメの本はこちらです。
先生が106歳の時に描かれた本です。
戦後の日本、女性が自分の仕事を持って生きるには厳しい時代でも、
あえて結婚して家庭に入る道を選ばず、
ご自分の力で書道教室を開き、家を借り、
「女性が自立して生活する」という偉業をなされました。
「自身の制作をしながら自由に生きる」という生き方はどういうことなのか、
先生の日常生活や制作に対する考えを分りやすい言葉でまとめてあります。
働く女性、制作をしたい方、心に迷いがある方は
励まされること間違いなしの一冊です。
文字が大きめで読みやすく、数時間程度でスラっと読むことができます。
こちらは、先生のベストセラー本です。
その他にも数多くの素晴らしい書籍を残されています。
美術に興味がない方でも、ご長寿の方の力強い言葉に励まされます。
まとめ
①水墨画や日本画が好きな方、ミニマムな作品が好きな
方におススメ
②疲れない、ちょうど良い作品展示数
③作品の解釈は鑑賞者任せなので、考え過ぎずに鑑賞出来る
日本画、水墨画、墨が好きな方、
たまには作品のテーマを考えないで気楽に鑑賞したいという方におススメです。
また、体調が悪い中行ったのですが、あまり広くないので、
歩き疲れずに見れる丁度良い量の展示でした。
- 水墨画や日本画が好きな方、ミニマムな作品が好きな方におススメ
- 結構寄れるので、墨、銀泥、主赤など日本画独自の素材感の違いを目近で堪能できます。墨の線、面が美しいです。
- 疲れない、ちょうど良い作品展示数
- そごう美術館自体がそれほど広くないので、あまり疲れません。お年寄りや体調不良の方でもおススメ。
- 作品の解釈は鑑賞者任せなので、考え過ぎずに鑑賞出来る
- タイトルが伏せてあり、自由に解釈して良いので、気楽に鑑賞できます。コンセプチュアルアート疲れの方におススメ。